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笑顔の仮面 何度目だろう。 あの人が好きという子が現れたのは。 「あの子、あの人のこと好きなんだって」 「どうやってあの人と付き合ったの」 何度目だろう。 自虐的な言葉を、笑って並べたのは。 「なんで好きになるかわかんないなぁ」 「…私が言えた言葉じゃないか」 何度目だろう。 胸の奥が鈍く痛むのを無視したのは。 知らないふり。気づかないふり。 だって私は、もう、あの人は好きじゃない。 のに。 どんなに大丈夫な顔をしていたって。 どんなに周りに嘘を吐いていたって。 ちっとも心に嘘は吐けないみたいで。 笑顔の仮面だけは不敵に笑う。 近くにいるから、どうしても聞こえてくる。 あの子と、あの人の会話。笑い声。 それでも、彼がそれを避けていると聞いて。 胸をなでおろす自分がいる。 今でも彼の「彼女」の思い出には私。 誰も、私の上に塗り重ねないで。 彼の隣に確かな人がいないこと。 それが、私の笑顔の仮面の保ち方。 (ただそれは、私のエゴだって、わかってる)